文章置き場

自作創作

 

DIVE

2019年01月30日

宋助君の安らかな寝顔にはうんざりだった。
彼が私の部屋に持ち込んだ部屋着を洗濯機に投げ入れるのも、スイッチを押して液体洗剤の量を計るのも、もう、嫌だった。

冬 駅にて

2019年01月29日

冬身を切るような冷気が街に冬のしつらえを終えた朝。
私はマントの大きなボタンを丁寧にかけ、黒いブーツのかかとを鳴らし、玄関を出た。

ダサク

2019年01月29日

そんな一文を書いてから、サトはスマホの電源を切った。力いっぱいぶん投げたら机に当たり、ケースがぐちゃぐちゃに割れた。

「君は、ヴァージニア・ウルフじゃない」セイタカアワダチソウをさわさわと揺らす風は、思春期に感情を留め置かれた四十女の溜息よろしく、清涼な水色をしていた。今、川沿いをゆっくり歩いている。ヴァージニアがコートのポケットに詰めた石が、私の心臓の底に存在していることを確信しながら。甘利さんの発した言葉を思い出した。「君は、ヴァージニア・ウルフじゃない」アスファルトと草の境目にしゃがみ、ポケットからライターを出した。火をつける。消す。火をつける。消す。ずっと、ヴァージニアがウーズ川に入水したのを、冬だと思ってた。実際には、春だ。三月の終わりだったらしい。ちょうど、今頃の季節だ。一本タバコを吸った。煙がセイタカアワダチソウの茎に分け入り、もやのようにふやけ、やがて消失していくのをあまりにも呆然とし...